カルチャにはインバリアントカルチャと呼ばれる特殊なカルチャが用意されています。 インバリアントカルチャでは、特定の言語や国・地域に依存しない書式が定義されています。 インバリアントカルチャを使用すると、ローカライズされる書式(例えば短い日付の形式d
)を使って文字列化する場合でも、実行環境のカルチャの影響を受けず常に同じ結果が得られます。 インバリアントカルチャには、英語圏で使われるものを基本とする書式が用意されています。
インバリアントカルチャが特に有用となるのは、異なるカルチャ間で日時を扱う場合です。 例として、文字列形式で日時のデータをやり取りすることを考えます。 ja-JPの環境で "2013年4月1日" の日付を短い日付の形式d
で文字列化すると "2013/04/01" (年月日の順)となります。 これを仮にファイルに記録したとして、ファイルから読み込んだ文字列 "2013/04/01" をParseメソッドで復元すると、同じja-JPの環境なら2013年4月1日という日付が復元されます。 一方、fr-FRの環境では "2013/01/04" という文字列をParseメソッドで復元しようとすると "2013日1月4年" と解釈され、異なる日付として復元されてしまいます。
次の例は、そのような状況を再現するものです。 この例では、Thread.CurrentThread.CurrentCultureに設定されているカルチャを変更することにより、異なるカルチャとなる環境で実行した場合の状況を再現しています。
こういった問題を避けるためには、変換時と復元時でカルチャが異なる場合でも同じ形式となる書式を使う必要があります。 この例のようにローカライズされる書式で文字列化しなければならない場合でも、インバリアントカルチャを使えばカルチャによらず同じ形式とすることができます。 カルチャによって異なる動作となる場合や、インバリアントカルチャを使用したカルチャ依存の動作の回避についてはカルチャによる動作の違いとインバリアントカルチャを参照してください。
ほかにも、こういった場合にはローカライズされない書式を使うこともできます。 ISO8601(W3C-DTF)形式o
やRFC1123形式r
などはローカライズされない書式であり、また言語や処理系にも依存しないフォーマットであるため、異なる実行環境や処理系との日時のやりとりに向いています。 これ以外の定義済みの書式については書式指定子 §.日付と時刻の書式指定子を参照してください。